流木ドームの制作
群馬県立館林美術館の企画展「木で作る美術」(6月26日から9月5日))に出品する造形作家、岡部玄さんの流木を使った作品制作をお手伝いする機会を得たので、その製作過程をご紹介します。
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6月15日(第1日目)
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13トンの大型トラック1杯分の流木を作品展示室に運び込む。ボランティア7名、西邑楽高校美術コースの3年生20人、がお手伝いで流木の運搬や仕分け作業を頑張る。作品はこの展示室とここへの細長いアプローチ、それと展示室から向こうに見えるガラスを突き抜けたような(屋外)巨大なデザインになる予定。
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造形作家の岡部玄さん。美術専攻の高校生へ説明と質問に応える。ここは美術館のロビー。ここにも運び込まれたたくさんの流木。
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番線で流木をつなぐ。「しの」と言う道具を使う。
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いよいよ製作開始。まず展示室の入り口部分から。実際の制作に当たるのは岡部さんとお二人の庭師の方(ヘルメット姿)、合計3人。
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1日目終了。最初に下の部分を組んでゆきます。その後、上に継ぎ足して伸ばします。
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6月18日(製作開始より4日目)
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2日間お休みしたら、アプローチ部分と展示室の大半は出来上がっていた。展示室からアプローチを見る。外からの光を受けて流木が美しい。
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アプローチの流木ドーム。
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明日からは右手の窓を突き抜けるような、野外の部分を制作予定。
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展示室のドーム内部。まだ支えの柱が数箇所にあります。この支えは最後に外されます。
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アプローチ.入り口部分。岡部さん、特にこの部分にはこだわってらっしゃるようです。何度もやり直してらっしゃいました。
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6月20日(製作開始より6日目)
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屋外の部分。昨日と今日、2日間を費やしてます。連日、夕方7時過ぎまで頑張ってらっしゃるそうです。それ以降は暗くなって見えません。
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天気が良いのは良いけれど暑くてバテます。明日の天気予報は台風の影響で雨、風強し。今日中に屋外での作業を終わらせたい。窓に多々良の松林が映りこんでます。岡部さん「あの赤松の林は良いなぁ、なかなか無いもの」。気に入っていただいたようです。
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展示室から屋外へ繋がるドーム
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展示室の壁に「空」が出現。
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「空」を形作っているのは、流木と一緒に流れてきたたくさんのスリッパ達です。
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展示室、もう一方の空間には流木の海が出来ました。
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ドームから見た「空」。
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いろいろな表情のオブジェ。
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雀の巣にインスパイヤーされて出来た流木ドームの中にあるのは卵?
完成です。
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9月7日(展示終了に伴い解体・撤去) |
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2日間の解体作業で「ドーム」と「空」が解体された。あとは岡山に向けて運び出すばかり。ホッとくつろぐ岡部玄さんと二人の庭師の方。お疲れ様でした。
岡部玄さんに館林美術館の最初の印象をお聞きしたところ、次のようなお返事を頂きました。
「作品を作りずらい処だなー、と思った。だって岡山からは遠いでしょ。流木を多めに用意しなくっちゃいけないし、途中で手直しなんて出来ないもの。それに展示室が広くて、形が変わっていて、イメージするのにここの代わりになるようなところが無かった。アプローチも使おうと思いついてから、構想を練れるようになったね。」
全身で感じながら仕事をする、という岡部さんらしいお言葉かなと思いました。
作品や作品つくりは、たくさんの人に感動を与える。
創造することは楽しい事であり、人間にとって必然な事だと、感じたボランティア体験でした。
当HPにこのレポートを掲載する事を快諾していただいた、岡部玄氏と館林美術館に感謝いたします。
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岡部玄氏 プロフィール
1948年(昭和23)岡山に生まれる。1971年愛知県立芸術大学卒業。倉敷市と岡山市を中心に多数の団体展に参加、また個展を開催。88年の個展で流木によるドーム状の作品を制作。以来流木や漂流物を用いたインスタレーション的な製作を中心に活動を続ける。97年「アート・ラビリンス? 時の記憶」(岡山県立美術館)にて1ヶ月にわたる製作期間を経て<広場・F>ほかを発表。同年日向現代彫刻展にて彫刻展大賞を受賞。2002年宇都宮美術館でワークショップ」を開催。
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